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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科53巻6号

1999年05月発行

文献概要

症例報告

顔面に生じた基底細胞癌に対する植皮術後に発症した肺塞栓症の1例

著者: 杉田康志1 行徳英一1 矢野貴彦1 土手慶五2

所属機関: 1広島市立安佐市民病院皮膚科 2広島市立安佐市民病院内科

ページ範囲:P.427 - P.430

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 69歳,女性.左頬部の母指頭大の黒色腫瘤(基底細胞癌),上口唇部の大豆大腫瘤(日光角化症)に対して全身麻酔下に切除術を行い,鎖骨部より採皮して遊離植皮術を施行した.手術翌日,初めてトイレに歩いて行った際,気分不良,胸部不快感,圧迫感が出現し転倒した.肺動脈造影で,右肺の上中下葉,左肺の下葉に多数の塞栓像が認められ肺塞栓症と診断した.ウロキナーゼ,ヘパリンにより血栓溶解療法,抗凝固療法を行い軽快した.下肢静脈造影で左下肢の深部静脈に血栓像を認めた.肺塞栓症は,高齢,肥満などの危険因子を有する場合には,比較的軽微な手術後や長期臥床,悪性疾患などが誘因となって発症し得る疾患として念頭におく必要がある.さらに,発症すれば重篤な経過をとる症例が多いため予防的処置を講ずることが大切と思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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