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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科53巻6号

1999年05月発行

文献概要

症例報告

D-ペニシラミンによる蛇行性穿孔性弾力線維症の1例

著者: 峰咲幸哲1 横井清1 新村眞人1 浦野和民2

所属機関: 1東京慈恵会医科大学皮膚科学講座 2浦野皮膚科

ページ範囲:P.444 - P.447

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 Wilson病にてD-ペニシラミンを内服中の30歳,女性に発症した蛇行性穿孔性弾力線維症の1例を報告した.項頸部に米粒大の角化性紅色丘疹が蛇行状に配列し,組織学的に好塩基性変性物質の経表皮的排出像と鋸歯状に変性した弾力線維の増生を認めた.D-ペニシラミンによる蛇行性穿孔性弾力線維症は比較的まれであり,これまでに海外では18例,本邦では6例の報告がある.発症機序は,D-ペニシラミンがエラスチンの架橋結合を阻害することによる弾力線維の形成障害と推測されている.現在までのところ確実な治療法はなく,基礎疾患のほとんどがWilson病であることからD-ペニシラミンの投与中止も難しく,代替薬もないのが現状である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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