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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科53巻6号

1999年05月発行

文献概要

症例報告

Encapsulated fat necrosisの2例

著者: 行徳英一1 杉田康志1 矢野貴彦1 信藤肇2 林雄三2

所属機関: 1広島市立安佐市民病院皮膚科 2広島市立安佐市民病院病理部

ページ範囲:P.459 - P.462

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 52歳女性の左手背(症例1)および61歳女性の左腰部(症例2)に生じたencapsulated fatnecrosisの2例を報告した.臨床的には,両症例とも自覚症状のない可動性を有する単発性の皮下結節として認められ,組織学的には脂肪組織の変性および壊死像を示し,明瞭な線維性被膜に被包された組織であった.また被膜部分はelastica—van Gieson染色で淡紅色を呈し,膠原線維から成っていた.本症はencapsulated fat necrosis以外にnodular-cystic fat necrosis, mobile en—capsulated lipomaなどの疾患名での報告も多いが,本症の本態が膠原線維で被包された脂肪壊死であり,腫瘍(脂肪腫)ではないこと,また自験例を含め他の報告例でも病巣全体あるいは一部が嚢胞状(cysticな)構造を認めない症例が多いことなどから,われわれはencapsulated fat necrosisという疾患名が最も適当と考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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