症例報告
アスピリン不耐症の2例
著者:
高河慎介1
丸山隆児1
横関博雄1
西岡清1
所属機関:
1東京医科歯科大学医学部皮膚科学教室
ページ範囲:P.517 - P.520
文献購入ページに移動
アスピリン不耐症は酸性非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)によりI型アレルギーに類似する症状を呈するが,1)内服誘発試験以外のI型アレルギー確認試験は陰性である,2)内服誘発には比較的大量の薬剤投与を必要とする,3)複数の酸性NSAIDに対し薬剤の構造式に依存せず惹起されることが多い,4)感作期間を必要とせず当該薬剤の初回投与でも誘発されうる,5)抗原特異的IgEは検出されない,などの特徴をもち非アレルギー性の疾患とされている.症例1,60歳男性.鼻茸,副鼻腔炎の既往あり,慢性蕁麻疹の加療中,ジキニンR(アセトアミノフェン含有)内服にて症状の増悪を認めた.ロキソプロフェンにて呼吸困難と浮腫性紅斑が出現.症例2,22歳女性.アスピリン,イブプロフェン,ジクロフェナク座薬にて全身に膨疹と軽度の呼吸困難が出現,コリン性蕁麻疹を合併.2例ともアスピリン内服試験にて症状の再現を認めた.