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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科53巻7号

1999年06月発行

文献概要

症例報告

Necrobiosis lipoidicaの2例—糖尿病と外傷の関連について

著者: 安部正敏1 大西一徳1 石川治1 宮地良樹2 五十嵐俊彌3 斉藤強平4

所属機関: 1群馬大学医学部皮膚科学教室 2京都大学大学院医学研究科皮膚病態学教室 3五十嵐皮膚科医院 4斉藤皮膚科医院

ページ範囲:P.529 - P.532

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 48歳の男性と48歳の女性の下腿に発症したnecrobiosis lipoidicaの2例を報告した.過去に糖尿病を示唆する異常を指摘されたことはなかったが,診断後の検索により男性例が糖尿病型,女性例が非糖尿病型であった.本邦における本症と糖尿病との関連について文献的に検討すると,糖尿病合併例は明らかに男性に多かった.一方,皮疹発生部位では,男女とも下腿発生例が大多数で約9割を占めた.本症は外傷が発症要因とされている.しかし,自験例では外傷の既往はなく,過去の報告でも明らかな外傷の既往をもつ例は少なかった.そこで,糖尿病の有無と皮疹部の外傷の有無について検討すると,糖尿病型では外傷の既往はないものが多いのに対し,非糖尿病型では外傷の既往をもつ例が明らかに多かった.よって,necrobiosis lipoidicaと診断した際には,特に男性例や外傷の既往がない例について,積極的に糖尿病合併の有無を検索する必要があると思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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