icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科54巻1号

2000年01月発行

文献概要

症例報告

抗Dsg 1 IgA抗体を有し,膿疱形成を認めた尋常性/落葉状天疱瘡の1例

著者: 布袋祐子1 石井健1 畑康樹1 大畑恵之1 天谷雅行1 清水宏1 西川武二1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.21 - P.24

文献購入ページに移動
 落葉状天疱瘡から尋常性天疱瘡に移行した患者において抗Dsg 1 IgA抗体を有し,膿疱形成を伴った症例を経験したのでここに報告する.症例は35歳,男性.臨床的に躯幹および四肢に水疱,びらん,環状紅斑に加え膿疱形成を認め,天疱瘡としては非典型的な臨床像を呈した.病理組織学的に角層下および基底層直上に好中球を多数含む膿疱形成を認め,直接・間接蛍光抗体法にて表皮細胞間にIgGおよびIgAの反応性も認めた.本症例の血中抗Dsg 1 IgA抗体はELISA法にて初診時より陽性であることが確認された.また間接蛍光抗体法におけるIgAの反応性は組換えDsg 1と前処理することにより完全に吸収除去され,Dsg 1以外の表皮細胞表面分子に対するIgA抗体は存在しないことが確認された.本症例のごとく臨床上膿疱形成を認め,非典型的な臨床を呈する際にはIgGのみならずIgA自己抗体の存在も検討することが必要と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?