icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科54巻1号

2000年01月発行

症例報告

C型肝炎を合併しグリチルリチン製剤で改善をみた扁平苔癬の1例

著者: 高木祐子1 澤田俊一1 新村眞人1 高木一郎2

所属機関: 1東京慈恵会医科大学皮膚科学講座 2東京慈恵会医科大学内科学講座1

ページ範囲:P.45 - P.48

文献概要

 50歳,女性.十二指腸潰瘍による頻回の輸血歴があり,一時的な肝障害を併発したがその後治療は受けていない.初診の1か月前より前腕に瘙痒を伴う直径5mm大の淡紅色丘疹が出現し徐々に体幹,四肢に拡大した.頭部,顔面を除く広範囲に丘疹が多発しているが,口腔粘膜,爪甲に変化はなかった.病組織検査で典型的な扁平苔癬の像を示した.臨床検査では貧血,軽度の肝機能障害および抗C型肝炎ウイルス抗体陽性所見があり,慢性C型肝炎と診断した.ステロイドの内服および外用療法を行ったが,皮疹の明らかな改善は認められず,グリチルリチン120mg,週6日の投与を開始した.7週後の33回目投与産時に,皮疹および病理組織像に改善が認められ,同時にAST, ALT値の低下もみられた.慢性C型肝炎と口腔扁平苔癬の合併は多数の報告例により知られているが,皮膚のみの扁平苔癬の発症原因の一つとしても慢性C型肝炎が関与していると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら