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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科54巻1号

2000年01月発行

文献概要

症例報告

上口唇に生じたhidradenoma papilliferumの1例

著者: 菊池麻紀1 島貫洋子1 繁益弘志1 原田敬之1

所属機関: 1東京女子医科大学附属第二病院皮膚科

ページ範囲:P.65 - P.68

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 71歳,女性.約10年前より,右上口唇に硬結が出現し,漸次,ドーム状に隆起してきた.初診時径14×14mmの皮下結節で,表面は平滑で灰青色調を呈し,弾性やや硬に触れた.自覚症状はない.表皮嚢腫の疑いで単純切除した.病理組織学的に腫瘍細胞は内腔を形成する円柱状細胞とその外側の立方形細胞とからなる.円柱状細胞では断頭分泌像が認められた.免疫組織化学的に,S−100蛋白が一部の立方形細胞,CEAは一部の内腔面,GCDFP−15は大部分の円柱状細胞と腺腔内にそれぞれ陽性を示した.以上の所見より,上口唇に生じたhidradenoma papilliferumと診断した.現在までの本邦皮膚科領域における報告例は28例で,そのほとんどが外陰部の発生例である.顔面に生じた例は自験例を含め4例であった.国内外の既報告例をもとに本腫瘍の免疫組織化学的所見をまとめ,若干の考察を加えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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