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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科54巻10号

2000年09月発行

症例報告

ニコチン酸および亜鉛低下を来し,多彩な皮膚症状を伴った吸収不良症候群の1例

著者: 手塚匡哉1 丸山友裕1 樋口昇2 真船善朗2 宇佐美明男3

所属機関: 1済生会新潟第二病院皮膚科 2済生会新潟第二病院消化器内科 3済生会新潟第二病院内分泌内科

ページ範囲:P.805 - P.808

文献概要

 43歳,男性.30歳時,十二指腸潰瘍穿孔にてビルロートII法による胃十二指腸切除術を受けた.初診の半年前より,口腔内びらんおよび味覚低下が出現した.次第にそれらの増悪と,1年間に10kgの体重減少および会陰部から陰嚢部にびらんを生じ当院内科に入院した.舌の発赤,舌乳頭の萎縮,口角炎,口唇炎,大腿基部内側から陰嚢部にびらんおよび潰瘍と,四肢および体幹に茶褐色の鱗屑を付す乾燥性局面を認めた.血中のニコチン酸,亜鉛およびトリプトファンが低値であった.自験例は,ビルロートII法による胃十二指腸切除術および慢性膵炎による吸収不良症候群に伴って栄養障害性皮膚病変を生じ,皮膚症状を含めた一連の病態が低亜鉛血症により悪循環に陥ったと考えた.また,各々の欠乏症に対応する皮膚症状は多彩で特異性が弱く,吸収不良症候群に伴う皮膚所見とすべきと考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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