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今月の症例
慢性C型肝炎を合併し巨大な環状局面を呈した慢性色素性紫斑の1例
著者: 福原耕作1 荒瀬誠治1
所属機関: 1徳島大学医学部皮膚科学教室
ページ範囲:P.957 - P.960
文献購入ページに移動 慢性C型肝炎にて加療中の64歳,女性.初診約2週間前より下腹部に瘙痒を伴う皮疹が出現し,中心に褐色色素沈着を伴った小児頭大の不整形紅褐色環状局面となった.組織学的に真皮上層の血管周囲にリンパ球性細胞浸潤と赤血球の漏出像を認めた.初診2週後には,四肢に点状紫斑を伴う褐色斑,紅褐色斑が多発し,約10週後には頭部,顔面,四肢に紫紅色扁平丘疹が出現した.臨床・組織所見より四肢の皮疹はSchamberg病,lichen purpuricusと診断した.経過中みられた皮疹はいずれも基本的に類似の組織所見を示したことより,腹部の環状局面も慢性色素性紫斑の一症状と考えた.慢性色素性紫斑とC型肝炎の合併は非常に稀であるが,その発症にC型肝炎ウイルスの関与が疑われた.
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