症例報告
再発を繰り返したマイボーム腺癌の2例
著者:
吾妻靖子1
杉山博子1
新田悠紀子1
所属機関:
1愛知医科大学皮膚科学教室
ページ範囲:P.1015 - P.1018
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70歳,女性および77歳,女性.共に左下眼瞼に再発を繰り返し,リンパ節転移を認めたマイボーム腺癌の2例を報告した.症例1:初診1年5か月前に眼科にて霰粒腫と診断され切除を受けた.再発を繰り返し,3回目の切除時に施行した病理組織にてマイボーム腺癌と診断した.周囲1cm離して切除し,組織像で断端に腫瘍細胞を認め再手術した.断端近くに腫瘍細胞を認め,放射線照射を施行した.約半年後,左下顎部にリンパ節転移を認め,左顎下リンパ節,顎下三角郭清術を施行し,4年間再発を認めない.症例2:初診2年6か月前に眼科にて3回切除され,3回目の病理組織にてマイボーム腺癌と診断された.周囲1cm離して全摘術および左頸部リンパ節郭清術を施行した.そのうち1個にマイボーム腺癌の転移を認めた.6年間再発を認めない.初回時の組織診断が重要と思われたマイボーム腺癌の2症例を報告した.