臨床皮膚科54巻13号

2000年12月発行

症例報告

大腸菌による壊死性筋膜炎の1例

著者： 中島武之¹ 宮島進¹ 前田知子¹ 岡田奈津子¹

所属機関： ¹大阪厚生年金病院皮膚科

ページ範囲：P.1087 - P.1090

文献概要

　50歳男性の下肢に生じた壊死性筋膜炎の1例を報告した．アルコール多飲の生活歴があったものの，特に誘因なく陰嚢から右下肢の発赤疼痛が生じ，敗血症性ショック，DICを併発，急速に皮膚壊死へと進展した．壊死病変は筋膜にまで及び，病変部および血液培養にて大腸菌が検出された．ICUにて全身管理を行い，強力な抗生剤投与と壊死組織の広範デブリードマンを行った結果，全身状態は改善した．発症1か月後に右大腿外側および下腿屈側に対し網状分層植皮術を施行した．壊死性筋膜炎は致死率の高い疾患であるが，早期の診断と十分なデブリードマン，抗生剤投与，全身管理により救命し得た．