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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科54巻5号

2000年04月発行

文献概要

Derm.2000

皮膚科医15年間の軌跡,16年目の真実

著者: 石黒直子1

所属機関: 1東京女子医科大学皮膚科

ページ範囲:P.117 - P.117

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 【MCTDとoverlap症候群】初論文のテーマである.Raynaud現象,手指の浮腫性硬化,筋力低下,腎生検での異常所見,抗RNP抗体単独高値…….当時典型的なMCTDと考えたが,今この疾患がわからない.抗RNP抗体陽性のもとに集められる種々のケース.独立疾患なのか否か.その後典型例に遭遇しない.【健康人の抗核抗体】初臨床研究のテーマである.健康人でも意外と抗核抗体陽性者がいる.抗核抗体陽性で膠原病を疑っていると依頼がくる.もちろん抗核抗体が陽性でも膠原病の症状を認めない人は経過観察としている.【接触皮膚炎と薬疹】これほど探求心を試される疾患はない.多種類の抗真菌外用剤で接触アレルギーを起こした症例では基剤中のアルコールが原因であった.熱傷様の皮疹を繰り返し幼児虐待説まででた症例は,母も投薬を忘れていたアスベリンの固定薬疹と判明した.いつも神経を研ぎすましておきたい.【除去食が奏効したAD】負荷試験まで試み,湿疹反応を確認した唯一の症例.入院でのステロイド外用にも反応しなかった5か月男児は,10歳になり皮疹を認めない.【GVHDと薬疹】輸血後の紅皮症の依頼がくると皮膚科医の判断が求められ苦渋した.今は放射線による予防が徹底し,そのストレスからは解放された.【疣と接触免疫療法】学位論文である.難治例で60%以上の治癒率を得たが,最近はほぼ100%治癒すると思っている.上司は「君は治ると信じているだろう.君の信じる気持ちが残り40%の患者の免疫を賦活化するんだ.」と……。もちろん科学的には証明できないが今日も信じて治療をする.【intermediate LE II】皮膚科医でなくては診断できないことがある.内科から検査上はさほど問題ないとして皮疹について依頼がある.生検,諸検査にて軽症型SLEと診断し治療をするがさほど進行しない症例がある.—私がしなくてはならないことは何か.これからも模索していきたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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