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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科54巻6号

2000年05月発行

文献概要

原著

毒素性ショック症候群(toxic shock syndrome)—典型的皮膚粘膜症状を呈した1例および本邦報告83例の統計的検討

著者: 石川博康1 小川俊一1 宮本貴庸2 鈴木昌幸2

所属機関: 1山形県立中央病院皮膚科 2山形県立中央病院内科

ページ範囲:P.385 - P.391

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 典型的皮膚粘膜症状を呈した毒素性ショック症候群(TSS)の46歳,女性例を経験した.高熱・咽頭痛・全身筋肉痛・腹痛・嘔吐・水様便を主訴に内科入院,同日夕刻から全身の紅斑出現とほぼ同時にショック状態に陥り多臓器障害をきたした.躯幹は粟粒大紅斑が集簇し融合傾向を,四肢はびまん性の「日焼け様紅斑」を呈し接触痛を訴え,結膜充血,口唇びらん,苺状舌を認めた.The Center for Disease Controlの診断基準を満たしTSSと診断した.抗生剤に反応し第3病日に解熱,血行動態も安定,第4病日に紅斑は消失,第10病日より手指掌蹠の膜様落屑を認め,第21病日に完治退院.ショック症状を伴わないTSSはprobablc TSSとして別定義されるが,本邦では厳密に区別されておらず,1999年まで両者合わせて自験例を含め83例の報告がある.女性にやや多く30代以下の発症が約70%を占め,誘因として術後,分娩,熱傷が多かった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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