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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科54巻6号

2000年05月発行

文献概要

症例報告

Helicobacter pyloriに対する除菌療法を試みたアナフィラクトイド紫斑の1例

著者: 早川順1 岩下健司1 塩原哲夫1 高橋信一2

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室 2杏林大学医学部第三内科学教室

ページ範囲:P.414 - P.417

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 慢性で再発性の経過を辿るアナフィラクトイド紫斑の71歳,男性例を報告した.精査により萎縮性胃炎とナニ指腸潰瘍が発見され,胃粘膜生検と尿素呼気試験よりHelicobacter pylori感染と診断した.アモキシシリン,クラリスロマイシン,ランソプラゾール3剤による除菌後,アナフィラクトイド紫斑の出現頻度が著明に低下したことより,紫斑の出現にHelicobacter Pyloriが関与している可能性が示唆された.近年,Helico—bacter pyloriと様々な疾患との関連が注目されているが,アナフィラクトイド紫斑に関しては我々が調べ得たかぎり海外において2例報告されているのみであった.除菌による皮疹抑制の機序は不明であるが,再発を繰り返したり経過中に腹部症状を認めたアナフィラクトイド紫斑の場合は,Helicobacter pyloriの関与を考え精査すべきである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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