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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科54巻6号

2000年05月発行

文献概要

症例報告

肺炎と消化管出血を同時にきたし,その治療後偽膜性腸炎を呈した汎発性強皮症

著者: 中村えり子1 河野通浩1 佐藤典子2 大久保みつこ1 新澤みどり3 富田靖4

所属機関: 1秋田大学医学部皮膚科学教室 2秋田組合総合病院皮膚科 3信州大学医学部皮膚科学教室 4名古屋大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.425 - P.428

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 53歳,女性.汎発性強皮症として8年前から外来通院治療中であった.皮膚の硬化は軽度であったが,1994年10月突然の肺炎,イレウス,上部消化管出血,下血を立て続けに生じた.すなわち,胆石の嵌頓で急性膵炎を生じ,イレウスを併発した.激しい嘔吐の繰り返しにより,食道に亀裂が入りMalloly-Weiss症候群を呈した.さらに嘔吐物が肺に入り,嚥下性肺炎も起こした.肺炎,膵炎に対し抗生剤投与後,下血を生じた.便よりClostridium difficileが検出され,偽膜性腸炎と考えられた.患者は消化管の硬化に伴う収縮不全や蠕動不良等が基盤にあって,胆石の嵌頓を発端とした思いがけない重篤な症状の出現をきたした.汎発性強皮症に対しては,内臓諸臓器の線維性変化は常に念頭において治療を進める必要があると考えさせられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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