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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科55巻10号

2001年09月発行

文献概要

症例報告

卵巣癌の病勢と一致してKL−6値が上昇した皮膚筋炎の1例

著者: 新井達1 勝岡憲生1 関根敦子2 新井春枝3 衛藤光4

所属機関: 1北里大学医学部皮膚科学教室 2北里研究所メディカルセンター病院皮膚科 3大和市立病院皮膚科 4聖路加国際病院皮膚科

ページ範囲:P.759 - P.762

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 49歳,女性.卵巣癌を合併した皮膚筋炎.皮疹は卵巣癌の病勢と並行して,寛解・増悪を繰り返した.経過中,UFTによると思われる間質性肺炎を併発したが,同剤の中止と加療により軽快した.しかし,その後も間質性肺炎の病勢とは無関係に血清KL−6値が上昇した.同時期より急速に卵巣癌の増大と転移が進んでいることから,腫瘍の体積と相関しているものと考えた.一方,KL−6と同様に間質性肺炎の指標となる血中SP—D値は正常範囲内であった.近年,II型肺胞上皮由来であるKL−6, SP-Dなどのマーカーが間質性肺炎の指標として広く用いられている.しかし,臨床症状と乖離してこれらマーカーの上昇する場合は,悪性腫瘍の検索も忘れてはならない教訓的な症例と思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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