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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科55巻10号

2001年09月発行

文献概要

症例報告

穿孔性腹膜炎にて死亡したコレステロール結晶塞栓症の1例

著者: 上奥敏司1 山本敦子1 下峠紀子1 石井正光1 鷲見知彦2 澤田寿一3 森本芳和3

所属機関: 1大阪市立大学大学院医学研究科皮膚病態学 2大阪市立大学大学院医学第1内科 3白鷺病院外科

ページ範囲:P.797 - P.799

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 71歳,男性.労作性狭心症(3枝病変)にて冠動脈バイパス術(CABG)を施行後より好酸球増多,CRP陽性,両足趾全体の冷感,チアノーゼ,疼痛が出現し,一部に黒色壊死化を認めた.足趾の紫紅色斑部の皮膚生検にて,真皮下層から脂肪織レベルの血管内に針状にぬけた典型的なcho—lesterol cleftの像を認め,コレステロール結晶塞栓症(CCE)と診断した.急激な腎機能の悪化に対して透析を導入し,血管拡張剤やHMG-CoA変換酵素阻害剤などによる治療を行い,小康状態であった.その後,徐々に足趾の状態が悪化し,他院にて左第1〜5趾切断術を施行された.しかし,急に腹痛が出現したため緊急開腹となり,空腸が120cmにわたり多発穿孔を伴う壊死に陥っており,まもなく死亡した.CCEにおいて小腸穿孔に到った症例は稀であり,皮膚科領域では自験例が最初の報告であると思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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