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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科55巻11号

2001年10月発行

文献概要

症例報告

HHV−6の再活性化の関与が疑われたカルバマゼピンによるhypersensitivity syndromeの1例

著者: 谷岡未樹1 吉川義顕1 是枝哲1 錦織千佳子1 宮地良樹1

所属機関: 1京都大学大学院医学研究科皮膚病態学

ページ範囲:P.871 - P.874

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 73歳,女性.高血圧と骨粗鬆症の治療中に帯状疱疹後疼痛に対してカルバマゼピンを処方された.その1か月後に露光部に紅斑が出現したため,薬剤性の光線過敏症として薬剤の内服中止を指示された.しかし,患者は自己判断で内服を継続し,その2週間後に全身に浸潤を触れる播種性の丘疹が生じ,激しい下痢を呈するようになったため入院となった.入院後,薬疹を疑い,すべての薬剤を中止してステロイドの点滴を開始したが,症状は遷延し,経過中に発熱がみられた.カルバマゼピンのパッチテストとリシノプリルの光パッチテストが陽性であった.組織学的には表皮の壊死と基底膜の液状変性,真皮にリンパ球の浸潤と赤血球漏出像を認めた.以上によりリシノプリルによる光線過敏症に引き続いて起こったカルバマゼピンによるhypersensitivity syndromeと診断した.入院時のHHV−6に対するIgGが高値であり,hypersensitivity syndromeが起こった原因としてHHV−6の再活性化の関与も考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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