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症例報告
小児皮膚筋炎の1例—本邦報告27例の統計的検討
著者: 渡辺昭洋1 浅井寿子1
所属機関: 1西尾市民病院皮膚科
ページ範囲:P.131 - P.133
文献購入ページに移動 ステロイドの内服が奏効した小児皮膚筋炎の1例を報告し,さらに近年の皮膚科領域における本邦報告27例を集計し,考察を加えた.症例は9歳男児.1997年3月下旬頃から耳介と顔面に紅斑が出現した.初診時に,両手の手指関節背面に小豆大までの角化性紅斑を,全手爪囲には紅斑を,さらに爪上皮の軽度な延長と点状出血を認めた.血液検査で軽度の肝機能障害とアルドラーゼの上昇を示した.顔面と手背の紅斑の皮膚生検にて,いずれも基底層の液状変性,真皮上層の血管周囲性の小円形細胞浸潤を認めた.プレドニゾロン投与(10mg/日により皮膚症状は軽快した.その後ステロイドを減量し,治療開始後18か月で中止したが皮膚・筋症状の再燃はみられない.皮膚症状が先行する小児皮膚筋炎では,特徴的な皮疹より早期に診断し治療を開始することが,予後の上でも重要である.
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