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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科55巻3号

2001年03月発行

文献概要

症例報告

シクロスポリン投与中内臓悪性腫瘍を合併した皮膚筋炎の2例

著者: 永尾圭介1 石橋正史1 佐藤友隆1 杉浦丹1

所属機関: 1清水市立病院皮膚科

ページ範囲:P.223 - P.225

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 皮膚筋炎の2例を報告した.両症例とも数回にわたる全身検索にて内臓悪性腫瘍は認めなかった.シクロスポリン投与中,症例1はstage IIIbの肺癌,症例2は原発性不明悪性腫瘍の肝・骨多発性転移を認めた.シクロスポリンによる腫瘍の発育および転移が促進されたことが考えられた.免疫抑制剤を長期投与した場合,腫瘍免疫が低下するため内臓悪性腫瘍の合併リスクが高まることが知られている.最近シクロスポリンは腫瘍細胞への直接作用にて発育・転移の促進をすることが証明された.シクロスポリンは現在ステロイド抵抗性皮膚筋炎や間質性肺炎合併例の治療において有用な薬剤であるが,皮膚筋炎の悪性腫瘍合併率を考慮すると適応は慎重に決定すべきである.シクロスポリンと悪性腫瘍につき文献的考察も加え報告した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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