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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科55巻3号

2001年03月発行

症例報告

チアマゾールによって誘発された落葉状天疱瘡の1例

著者: 中村裕之1 古屋和彦1 筒井理裕2

所属機関: 1函館中央病院皮膚科 2函館中央病院内科

ページ範囲:P.226 - P.228

文献概要

 薬剤誘発性天疱瘡の原因薬剤は,構造式中に遊離のSH基を持つ薬剤であることが多い.抗甲状腺剤であるチアマゾールもSH基を含み,かつその使用頻度が高いのにもかかわらず,天疱瘡誘発の報告は意外にもきわめて少ない.筆者らは,41歳女性の,本剤による落葉状天疱瘡の1例を経験した.皮疹は内服開始3か月後(総量940mg)に生じ,初め躯幹の多発性浮腫性紅斑,次いで紅斑上に水疱を形成し,落葉状天疱瘡様となった.組織像,免疫蛍光抗体法による所見も特発性落葉状天疱瘡と類似した.チアマゾール内服中止後1か月半で皮疹は速やかに消失し,以後再発をみない.本剤による報告例がきわめて少ないことから,実際の天疱瘡発生率もきわめて稀であると想像されるが,やはり留意すべき原因薬剤の一つであると考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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