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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科55巻3号

2001年03月発行

治療

疥癬に対するイベルメクチンの効果—1例報告と当科における25例の検討

著者: 樹神元博1 小林誠一郎1 谷川瑛子1 竹内勤2 座覇修3 斎藤厚3 田中勝1 西川武二1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室 2慶應義塾大学医学部熱帯医学・寄生虫学教室 3琉球大学医学部第1内科

ページ範囲:P.273 - P.276

文献概要

 71歳,男性.8か月前から陰部に瘙痒感を伴う皮疹が出現した.近医にて治療されるも軽快せず全身に拡大したため当科を受診した.初診時,躯幹,四肢,頸部に紅斑および小丘疹,漿液性丘疹と掻破痕,両手,両足には落屑,亀裂を認めた.臨床症状および経過より疥癬を疑い,顕微鏡検査にて疥癬虫の虫体を確認した.イベルメクチン2錠を1回内服投与の4週間後に皮疹,瘙痒感とも著明に改善した.自験例を含め,当科イベルメクチン使用例25例のうち経過を追えた24例全例に有効であり,副作用は瘙痒感,上肢のむくみ感のみであった.イベルメクチンは回旋糸状虫症,リンパ系フィラリア症や糞線虫症などに対する経口駆虫薬で,疥癬に対しても非常に有効との報告が海外で相次いでいる.従来の疥癬の治療薬と比較すると効果も高く副作用も少ない.通常1回投与でよいため,非常に手軽でコンプライアンスの良い優れた薬剤である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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