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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科55巻4号

2001年04月発行

雑誌目次

カラーアトラス

Triple extramammary Paget病の1例

著者: 岡田悦子 ,   加藤英行 ,   佐藤博子 ,   曽根清昭

ページ範囲:P.286 - P.287

 患者 59歳,男性
 家族歴・既往歴 特記すべきことなし.

原著

骨髄性プロトポルフィリン症:11例の観察

著者: 福島佐知子 ,   川原繁 ,   竹原和彦

ページ範囲:P.289 - P.293

 当科において過去10年間に経験した骨髄性プロトポルフィリン症の11例を報告した.11例中家族内発症例を7例含む.男女比は男性6人,女性5人でありほぼ同率であった.初診時年齢は7〜41歳であり,いずれも活動的となり日光暴露時間が増加するようになる幼少時,小学校低学年頃より発症を認めている.11症例中10例に瘢痕,色素沈着を主体とする皮膚症状を,9例に日光暴露後に露光部に紅斑,水疱などが生ずる日光過敏の自覚症状を認めた.血中プロトポルフィリン値は289〜11610と正常値30〜86に比し高値を示し,前駆体であるコプロポルフィリン,ウロポルフィリンの有意の上昇を認めなかった.2症例においては肝酵素の上昇を認め,うち1例においては早期の肝硬変が認められた.本症では皮膚症状が軽微な場合,見過ごされることが少なくないが,重篤な肝障害を伴うことが稀でないことより皮膚科医による早期診断が重要である.

乾癬患者における掻破行動について

著者: 神田憲子 ,   嵯峨兵太 ,   岡本玲子 ,   五十嵐泰子 ,   川島眞

ページ範囲:P.296 - P.300

 尋常性乾癬の増悪因子としての掻破行動について検討した.当科通院中の患者40名において,掻破行動に関するアンケート調査を行った結果,外用治療時以外にも皮疹に触れると回答した患者が38例みられた.その理由としては,26名が痒みのためと回答したが,痒くなくても気になるから,などの痒みによらない掻破行動も12名と比較的高頻度に認められた.臨床像からも掻破行動が乾癬の皮疹の形成や難治化に関与していると考えられる例もみられ,乾癬患者の生活指導において,掻破行動の指摘も重要なポイントになると思われた.

今月の症例

Amyloidosis cutis nodularis atrophicansの1例

著者: 工藤忍 ,   工藤厚

ページ範囲:P.302 - P.305

 67歳,男性の足底に生じたamyloidosis cutis nodularis atrophicansの1例を報告した.透明感のある紅色線条を呈し,臨床的にはきわめて稀な症例であるが病理組織学的には典型的で,沈着アミロイドはAL(λ)であった.全身型との関連につき考察を加えた.

症例報告

尋常性白斑を合併した尋常性乾癬の1例

著者: 佐藤佐由里 ,   轟葉子 ,   矢澤徳仁 ,   河野志穂美 ,   江藤隆史 ,   日野治子

ページ範囲:P.306 - P.308

 尋常性白斑と尋常性乾癬を合併した48歳,男性の1症例を報告する.祖母,白斑の家族歴あり.境界型糖尿病,甲状腺機能亢進症の既往あり.16歳,尋常性白斑,27歳,尋常性乾癬を発症.45歳,上気道炎に伴い,乾癬が悪化し全身に拡大し,治癒した皮疹に一致して白斑を生じた.48歳,角化性紅斑局面が再燃し,受診.初診時,全身に地図状の白斑,および躯幹,四肢の主として白斑上に角化性紅斑局面を認めた.血清学的には抗核抗体homogeneous型,speckled型40倍,抗甲状腺抗体100倍.HLA-A2, A24,B46, B51, Cw1, DR−6, DR8陽性.UVB照射とビタミンD3外用療法にて皮疹は軽快.自験例は,尋常性白斑の家族性非分節型にみられるHLA-B46が陽性を示し,家族歴もあることから,白斑の成因に遺伝的背景が示唆された.

Angioedema associated with eosinophilia(nonepisodic type)と考えた1例

著者: 関姿恵 ,   秋元幸子 ,   石川治

ページ範囲:P.309 - P.311

要約 症例:21歳,女性.約1か月前より両足関節部,手指背に瘙痒を伴う腫脹と紅斑が生じた.好酸球は24.2%と増加し,皮膚生検組織像では脂肪小葉隔壁および小葉内に好酸球浸潤と線維増生,浮腫および多発する血栓を認めた.プレドニゾロン20mg/日にて治療を開始し,症状,検査所見とも軽快し再燃を認めなかった.自験例は四肢関節部に皮疹が限局し,組織学的に皮下脂肪織を中心に好酸球浸潤と血栓を認めた点で非定型的だが,1998年Chikamaらが提唱したnonepisodic angioedema associated with eosinophiliaに合致すると考えられた.

テルビナフィンによる蕁麻疹型薬疹の1例

著者: 新見直正

ページ範囲:P.312 - P.313

 テルビナフィンによる蕁麻疹型薬疹を報告した.患者は33歳,女性.爪白癬にてテルビナフィンを処方され,内服約10時間後に蕁麻疹を発症した.抗ヒスタミン剤等の投薬にて軽快し,皮疹が完全に消失した2週間後テルビナフィンを内服したところ,約6時間後に再び蕁麻疹が出現した.テルビナフィン錠,テルビナフィンクリームを用いたスクラッチパッチテストにて陽性であった.

アストモリジンD®による薬疹の1例

著者: 中村康博 ,   永山博敏

ページ範囲:P.315 - P.317

 37歳,女性.気管支喘息の加療目的でプロキシフィリン,フェノバルビタール,塩酸エフェドリン合剤(アストモリジンD®)ほか数種類の薬剤を内服開始し,約1か月後,発熱,頭痛に引き続いて全身に紅斑が出現した.検査所見上,肝機能障害を伴った.皮疹はステロイド内服および外用にて約1か月後に軽快した.薬剤添加リンパ球刺激試験(DLST)ではフェノバルビタールが陽性で,パッチテストではプロキシフィリン,フェノバルビタールが陽性であった.内服誘発試験は施行できなかった.

Lichen purpuricusの1例

著者: 城守祥代 ,   竹中秀也 ,   岸本三郎 ,   安野洋一

ページ範囲:P.320 - P.323

 23歳,男性にみられたlichen purpuricusの1例を経験したので報告する.Lichen purpur—icusは慢性色素性紫斑に属する疾患と考えられているが,現在もいまだ病因が不明であり,疾患概念も確立されていない.本症は本邦では自験例も含めて23例の報告例がある.本邦報告例の集計と免疫組織化学的所見を踏まえて考察した.

開口部形質細胞症の1例

著者: 中東祐子 ,   黒川一郎 ,   楠本健司 ,   岡村明治

ページ範囲:P.324 - P.326

 43歳,男性の下口唇にみられた開口部形質細胞症を報告した.初診の1か月半前より下口唇左側にびらんが出現し,同部に発赤,腫脹,痂皮,出血を認め,左顎下リンパ節腫脹を伴い受診した.病理組織像では表皮,真皮,筋層内に稠密な形質細胞を主体とする細胞浸潤と,赤ML球の血管外漏出がみられた.また,一部にリンパ濾胞様構造が存在した.1日当たり20本の喫煙歴があり,タバコによる慢性の刺激が発症誘因と推定された.生検後,抗生剤内服,抗生剤含有ステロイド軟膏の外用により,びらんは1か月半後には速やかに上皮化した.血中免疫グロブリンは正常範囲内であった.

側頸嚢胞の1例

著者: 木花光 ,   桜井二郎

ページ範囲:P.327 - P.329

 36歳,女性の側頸嚢胞の1例を報告した.嚢胞壁は内側から順に重層扁平上皮,リンパ組織,薄い結合組織より成る.嚢胞の外側にリンパ節が虫垂状に付着しているが,これは壁のリンパ組織に連続している.近年,本症は鰓弓由来ではなくて,リンパ節に取り込まれた上皮由来と考えられているが,自験例はこれを支持する組織像を示す.また本症と側頸瘻とはしばしば混同されているが,別症である.側頸部の皮下腫瘤に対しては,超音波検査などの画像検査を行い,手術前にできるだけ多くの情報を得るべきである.

耳介に生じた血管平滑筋腫の1例

著者: 勝又和子 ,   森弥生 ,   飯田利博 ,   西山千秋 ,   森嶋隆文

ページ範囲:P.331 - P.333

 19歳,男性の右耳介に発生した血管平滑筋腫の1例を報告した.右耳介の舟状窩に直径12mm,半球状に隆起した弾性軟の無痛性の結節が単発する.組織は,大小さまざまな血管腔と平滑筋線維がそれを同心円状に取り巻き,血管平滑筋腫の静脈型と診断した.耳介は比較的稀な発生部位であり,疼痛を伴わないことも特異的であったため,下肢に生じた当教室の3例と比較検討した結果,下肢3例は組織はすべて毛細管型であり,有痛性であった.さらに,自験例を含め本邦報告耳介発生例を集計したところ,無痛性で静脈型が多く,他の部位に生じる血管平滑筋腫とは異なった傾向を示した.

外毛根鞘癌の2例

著者: 清水晶 ,   永井弥生

ページ範囲:P.335 - P.337

 症例1:82歳女性,右頬部の腫瘤.症例2:93歳女性,右足背の腫瘤.組織学的に,いずれも腫瘍細胞は淡明な異型細胞を主体とし,前者は好酸性壊死巣を伴う嚢腫様構造を認めたものの,角化傾向に乏しくmalignant trichilem—momaと診断,後者は多くの胞巣中心部に角質嚢腫構造を伴いmalignant proliferating tri—chilemmal tumorと診断した.若干の文献的考察を加え報告した.

電子線照射が奏効した下眼瞼のMerkel細胞癌

著者: 小野浩子 ,   入交珪子

ページ範囲:P.339 - P.341

 78歳,女性.右下眼瞼内側の暗赤色小結節が急速に増大し,免疫組織学的所見よりMerkel細胞癌と診断した.Neuron-specific enolaseは陰性,サイトケラチン20強陽性であった.治療は放射線療法単独で行ったが,照射3回目頃(7.5Gy)より腫瘍の明らかな縮小傾向がみられ,総線量50Gyで病理組織学的検査上腫瘍細胞を認めず,腫瘍は消失したと考えられた.9か月経過後の現在も局所再発および転移は認められない.

頬部に生じたmorphea-like basal cell carcinomaの1例—Lentigo malignaとの鑑別を要し,再切除を施行した症例

著者: 高橋靖幸 ,   塚本克彦 ,   島田眞路

ページ範囲:P.342 - P.344

 70歳,女性.初診の3年前に左頬部にバラのとげを刺し,褐色の色素沈着が出現した.初診時,同部に6×3cm大の萎縮性黒褐色局面を認め,lentigo maligna等との鑑別を要した.病理組織検査にて,morphea-like basal cell car—cinomaと診断した.今回肉眼的断端より7mm離して切除するも取り残しを認めたため,再度7mm離して切除した.その後2年再発はない.

Myelodysplastic syndromeを合併した壊疽性膿皮症—血中G-CSF値と皮疹との間に関連を認めた1例

著者: 三澤淳子 ,   橋爪秀夫 ,   秦まき ,   影山葉月 ,   森脇真一

ページ範囲:P.345 - P.348

 50歳,男性.46歳頃より貧血を指摘されていた.初診3か月前の打撲を契機に左下腿に潰瘍が出現,近医での抗生剤を主とした加療にもかかわらず水疱を伴いながら拡大し,39℃台の高熱も持続するようになった.初診時,左膝上部から下腿前面にかけて巨大な穿掘性潰瘍を認め,臨床的に壊疽性膿皮症と診断された.プレドニゾロン大量投与により潰瘍はいったん略治したが漸減中に再発し,またその頃より末梢血中に芽球が出現するようになり,myeiodysplastic syndromeの合併が確認された.再燃した皮疹はフレドニゾロン増量後も増悪傾向を示したが,シクロスポリンを併用したところ著明に改善した.血中granu—locyte colony-stimulating factor値を測定したところ,壊疽性膿皮症の臨床症状との間に関連を認めた.

Nasal natural killer cell lymphomaの1例

著者: 角田美英 ,   山崎正視 ,   住吉孝二 ,   瀧本玲子 ,   村山功子 ,   高森建二

ページ範囲:P.350 - P.352

 65歳,男性.1998年2月頃より,鼻閉感を生じ,同時期より右乳房に腫瘤が生じた.さらに両下肢にも腫瘤が生じ,一部は潰瘍化した.皮膚生検にて,真皮全層に小型から中型でくびれた核を有する大小不同の異型リンパ球様細胞を認めた.これらの細胞は,免疫組織学的に,CD2,CD56,HLA-DRが陽性,生検時のメイ・ギムザ染色のスタンプ標本にて,アズール顆粒を有していた.TCRの遺伝子再構成は認めなかった.以上より,本症例をnatural killer cell lympho—maと診断した.皮膚を検体としたPCR法にてEpstein-Barrウイルスが検出された.腫瘍の病変は,頭部MRIにて副鼻腔から上咽頭に存在しており,頭蓋底への浸潤も否定できなかった.化学療法(CIIOP)2クール施行後,放射線療法も試みたが,治療に反応せず,永眠された.今回,改めてこの疾患の予後の悪さを認識させられた.

電子線照射が奏効したAIDS関連Kaposi肉腫—PCR法によるHHV−8の検出を含めて

著者: 藤塚章子 ,   本多章乃 ,   原弘之 ,   落合豊子 ,   森嶋隆文 ,   佐多徹太郎

ページ範囲:P.353 - P.356

 35歳,男性.肺結核の診断で入院加療中にHIV抗体陽性を指摘され,両足の皮疹を主訴に当科を受診した.初診時,両1〜3趾を中心として,両足の外足縁にも一部及んで浸潤を触れる紫紅色斑を認め,これらは6か月前に出現した.病理組織学的には真皮内に管腔様構造と紡錘形細胞の増生を認め,これらの細胞は免疫組織化学的検討により第VIII因子関連抗原,UEA-Iレクチン,CD34抗原に陽性であり,Kaposi肉腫の所見に一致した.パラフィン包埋組織切片から抽出したDNAを用いたPCR法によりHHV−8DNA断片を検出した.以上よりAIDS関連Kaposi肉腫と診断した.腫瘍が両足のみに限局していたため局所療法の適応と考え,電子線照射を施行した.照射開始後皮疹は速やかに退縮傾向を示し,計40Gy照射後約2か月で皮疹は完全に消退した.患者のQOLの向上のためにも限局性の病変に対しては積極的な治療の必要性があり,放射線療法が有用であることを確認した.

尿閉を併発した単純ヘルペスウイルス2型初感染による性器ヘルペスの1例(Elsberg症候群)

著者: 岩崎慈子 ,   本田まりこ ,   福地修 ,   石地尚興 ,   新村眞人

ページ範囲:P.357 - P.360

 52歳,女性.夫と性交渉があり,その4日後から外陰部に疼痛を伴う水疱,びらんが多数生じた.さらに39℃台の発熱を認め,排尿困難となったため,第6病日に受診した.外陰部のびらん面より単純ヘルペスウイルス(herpes sim—plex virus,以下HSV)の2型が分離同定され,血中のウイルス抗体価の推移より性器ヘルペス初感染と診断した.尿閉を併発していたことよりElsberg症候群を疑った.髄液検査ではPCR法でHSV-DNAは検出されなかったが,尿閉の原因として排尿時痛だけではなく,HSVによる仙骨神経根障害により膀胱直腸障害を起こしたものと考えた.

Actinomyces israeliiによる胸部難治性瘻孔の1例

著者: 猿川麻衣子 ,   堀口大輔 ,   羽根田牧 ,   木村正

ページ範囲:P.362 - P.364

 83歳,男性.1990年に施行された心臓手術の瘢痕部が1998年に発赤腫脹し,難治性潰瘍となり閉鎖術を施行したが,再び瘻孔を形成した.膿汁中に黄白色の顆粒を,また肉芽組織の生検で周囲を棍棒体で覆われた顆粒を認めたため放線菌感染症と診断した.胸部X線撮影像で左肺門部に腫瘤影を認め,胸部型放線菌症が術後瘢痕を通じて皮下に達したものと考えた.PCR法にてActinomyces israeliiを同定した.ペニシリンG,セブメタゾール,ミノサイクリンの投与による胸部陰影の改善に伴い瘻孔も閉鎖し軽快した.

連載

Clinical Exercises・97—出題と解答

著者: 清水宏

ページ範囲:P.344 - P.344

193
次のうち正しい組み合わせはどれか.
①単純性表皮水疱症(EBS) ケラチン2e

海外生活16年—出会った人・学んだこと・4

著者: 神保孝一

ページ範囲:P.368 - P.368

メラノサイトのprogrammed cell deathと尋常性白斑
 私がハーバード大学医学部皮膚科でFitzpatrick教授から最初に研究を行うように言われたテーマは尋常性白斑(vitiligo)の病気モデルを探すこと,また,それに基づき脱色素斑の発症機序についての研究を行うことであった.私自身はボストンでの研究が,日本での研究の延長を行うことを当初期待していたが,この中で毛髪におけるメラノサイトの幹細胞とその細胞の分化増殖機転,また,メラニン蛋白の生化学的性状とメラノソームの構造との関連等であった.しかし,これらの課題はさておいて,まず,尋常性白斑の病態モデルを探すことであった.
 ちょうど,ネブラスカ大学に行ったBrumbaugh教授が鶏の色素細胞の研究をしており,白色レグホンのembryoはメラノサイトを持っているがadultではメラノサイトを欠いているということを報告していたことをBrown大学のQuevedo教授が話していることを聞き,この白色レグホンのembryoを用いた研究から何らかの尋常性白斑の病態に関する所見を得られないかという仮定のもとに,この研究が始まった.確かに白色レグホンembryoにはメラノサイトが存在し,メラニン顆粒を当初造っているが,その後何らかの機序で細胞死が起こり,結果としてadultではメラノサイトを欠くことが分かった.電子顕微鏡を用いた研究によりメラノサイトが自己で産生したメラノソームを周囲角化細胞に受け渡すことができずに結果としてメラノソームの自家喰空胞を作り細胞死に至ることを見つけた.

治療

ピアス穴に生じた耳垂ケロイドに対する手術・放射線併用療法の検討

著者: 岩崎泰政 ,   波多野裕二 ,   檜原理子 ,   山本昇壯 ,   広川裕

ページ範囲:P.365 - P.367

 ピアス穴より生じた耳垂ケロイド6例12病変に対してケロイド内切除術を行い,手術翌日より6MeVのリニアック電子線をほぼ連日,5回で15Gyを照射した.さらに残存するケロイドや術後の手術創の硬結が消退しない病変には,トリアムシノロンアセトニドの局注を数回行った.効果判定は術後6か月以上経過した症例について行い,12病変のうち「優」は8病変(67%),「良」は4病変(33%)であり,ケロイド再発例もなくすべて有効であった.最大では45×33×20mmの大きさの耳垂ケロイドを完治させることができ,本治療法が耳垂ケロイドに対しては有用な治療法であると考えられた.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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