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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科55巻4号

2001年04月発行

症例報告

電子線照射が奏効したAIDS関連Kaposi肉腫—PCR法によるHHV−8の検出を含めて

著者: 藤塚章子1 本多章乃1 原弘之1 落合豊子1 森嶋隆文1 佐多徹太郎2

所属機関: 1日本大学医学部皮膚科学教室 2国立感染症研究所エイズ研究センター

ページ範囲:P.353 - P.356

文献概要

 35歳,男性.肺結核の診断で入院加療中にHIV抗体陽性を指摘され,両足の皮疹を主訴に当科を受診した.初診時,両1〜3趾を中心として,両足の外足縁にも一部及んで浸潤を触れる紫紅色斑を認め,これらは6か月前に出現した.病理組織学的には真皮内に管腔様構造と紡錘形細胞の増生を認め,これらの細胞は免疫組織化学的検討により第VIII因子関連抗原,UEA-Iレクチン,CD34抗原に陽性であり,Kaposi肉腫の所見に一致した.パラフィン包埋組織切片から抽出したDNAを用いたPCR法によりHHV−8DNA断片を検出した.以上よりAIDS関連Kaposi肉腫と診断した.腫瘍が両足のみに限局していたため局所療法の適応と考え,電子線照射を施行した.照射開始後皮疹は速やかに退縮傾向を示し,計40Gy照射後約2か月で皮疹は完全に消退した.患者のQOLの向上のためにも限局性の病変に対しては積極的な治療の必要性があり,放射線療法が有用であることを確認した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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