文献詳細
特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 2001
1 最近話題の皮膚疾患
文献概要
慢性尋麻疹の原因は不明のことが多いといわれてきたが,近年多くの慢性蕁麻疹患者血清中に,IgEまたは高親和性IgE受容体に対する自己抗体が存在し,肥満細胞を直接活性化して脱顆粒を起こすことが明らかになってきた.最近それらの知見を背景に,既存の治療法に抵抗性の蕁麻疹に対して新たな治療法が試みられ,その有効性も報告されている.しかし免疫学的手法を用いた検査では,結合活性を有するがヒスタミン遊離能を持たない自己抗体が検出され,かつそのような抗体は他の多くの自己免疫疾患や健常人血清中にもみられることが明らかになってきた.臨床的,血液学的,病理組織学的に,自己抗体による蕁麻疹は,それ以外の蕁麻疹と比べて全体としての傾向はあるものの,個々の症例を判別し得るほどの明らかな違いはみられず,その鑑別は容易ではない.今後より簡便で,特異性の高い検査法の開発が望まれる.
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