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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科55巻5号

2001年04月発行

文献概要

Derm.2001

新しいことを始めて—紫外線治療

著者: 森田明理1

所属機関: 1名古屋市立大学皮膚科

ページ範囲:P.139 - P.139

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 UVA 1(340〜400nm)療法を知っていますか?Jean Krutmann教授のラボ(ドイツ・デュッセルドルフ大学)に留学した時は,まだドイツの一部の施設でしか行われていない治療でした.目標は,分子的・光生物学的機序を明らかにし,UVA 1療法を世界中で一般的な治療にすることでした.これまでに,アトピー性皮膚炎,肥満細胞腫,限局性強皮症,全身性強皮症の硬化部位,皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)に効果が認められています.CTCLでは,現在PUVA療法との比較で国際多施設検討を行っています.名古屋市立大学でも,4分の1世紀前の外用PUVA療法の開発に次いで,もう1つ新しい紫外線療法を始めることができました.Narrow-band UVB(311nm)は,UVA 1に比べ一足先に欧米で一般的となりました.日本でもいくつかの施設に導入が始まっています.ドイツでのスキンタイプ別の最小紅斑量を参考にし,日本人で必要な照射量を算定し,機器の作成から始め,最近乾癬とアトピー性皮膚炎に対して安全性と有効性を検討する試験を始めることができました.UVA 1とNarrow-band UVBという新しい紫外線療法を導入することができたのですが,さらにUV-VISというもっと新しい紫外線療法の開発,作用機序の解析を今後進める予定です.もちろん,今までのPUVAバスの見直しもはじめ,洗面器を用いた方法やバスインバスの方法を用い,増量を検討して,治療回数を少なくすることもできるようになってきました.誰にでも導入できるような安全性と有効性の高いプロトコールの開発をPUVAでも進めています.
 新しい治療を開発するということ,さらに一般的なプロトコールを作ること,そしてそれが基礎的な実験の結果から進められることなど,楽しく臨床と研究を進められるようにと考えています.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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