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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科55巻5号

2001年04月発行

文献概要

特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 2001 5 皮膚科医のための臨床トピックス

砒素中毒による皮膚病変

著者: 古川福実1 上出康二1

所属機関: 1和歌山県立医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.169 - P.171

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 砒素と人類の関わりは,紀元前400年頃からと古い.有害物質としての歴史も長く急性中毒と慢性中毒があり,皮膚科領域からも決して忘れてはならない分野である.その理由の一つは昭和30年代までに梅毒や乾癬治療薬として亜細亜丸,Fowler水(ともに無機),サルバルサン(有機)が頻用されていたことにある.急性中毒として,間擦部位に左右対称性に出現する紅色丘疹と指趾の落屑を有する皮疹が関連性を類推されている.組織学的には,明らかな特徴的所見に乏しい.一方,職業性の接触皮膚炎型は「砒素まけ」とも呼ばれ,限局性の麻疹あるいは猩紅熱様皮疹を呈する.慢性砒素中毒としては,砒素黒皮症(色素斑を含む),白斑,角化症,Bowen病,基底細胞癌,有棘細胞癌などが挙げられる.また,内臓悪性腫瘍の検索を疎かにしてはならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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