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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科55巻5号

2001年04月発行

文献概要

Derm.2001

脱毛症・膠原病外来を担当して

著者: 松田真弓1

所属機関: 1岩手医科大学皮膚科

ページ範囲:P.198 - P.198

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 特殊外来として毎週金曜日の午後,医局の大原学先生と脱毛症・膠原病外来を受け持っている.当科では最近,脱毛症の患者さんが次第に増加する傾向にある.周知のごとく円形脱毛症の病型として単発型,多発型,ophiasis型,全頭型,汎発型に分類され,特に後者の3型は難治である.本症の病因として,成長期毛に対する自己免疫異常が言われるようになってから,まだ久しい.当科で行っている難治性脱毛症の治療法は,SADBE(squaric acid dibutylester)を用いた長期局所免疫療法,外用PUVA療法,雪状炭酸圧抵療法が主体である.これらの治療法のうち,どれを選択するかは一定の基準はないが,患者さんの年齢などを考慮し,苦痛のない治療法より採用しているが,1976年,Nosterらにより最初に施行されたSADBE療法が比較的有効であるという印象を持っている.しかし,本剤に非常にかぶれやすい人がいること,本法により完治した症例にかなりの率で再発がみられるので,その後も長期にわたり,治療の継続が必要であることなどの難点がある.外用PUVA療法は,効果発現まで比較的時間を要し,その効果判定には3〜4か月は必要と思われるが,苦痛がなく比較的有効な治療法である.雪状炭酸圧抵療法は古くより行われている治療であるが,効果のある症例も結構あり,当科では軽症の脱毛症の治療に比較的頻繁に行っている.しかし,これら種々の治療法にもかかわらず全く反応しない症例もあり,今後の新たな治療法に期待が持たれる.本症は自己免疫疾患異常としてとらえられ,その意味からステロイドの内服と全身PUVAの併用,FK 506などの免疫抑制剤の投与の工夫など今後考慮されるであろう.
 一方,重症の脱毛症や,治療に長期間を要すると予想される患者さんには,かつらの着用を勧めた上で治療の継続を行うことがあるが,「先生,私の脱毛症は治らないということでしょうか.」と言われる患者さんもあり,ムンテラの難しさを痛感しながら,診療に勤しんでいる今日この頃である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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