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原著
指尖部(特に爪床)の生検時における人工真皮移植の有用性
著者: 北吉光1 山田信幸1
所属機関: 1りんくう総合医療センター市立泉佐野病院形成外科
ページ範囲:P.385 - P.388
文献購入ページに移動 人工真皮(テルダーミス®)を5例の指尖部の腫瘍生検後に用いた.5例いずれにおいても臨床的には確定診断は難しく,生検にて確定診断をつける必要があった.最終的な診断名は扁平上皮癌が2例,化膿性肉芽腫,粘液軟骨腫,グロムス腫瘍が各々1例ずつであった.まず腫瘍をexcisional biopsyした後,欠損部を完全にカバーするように人工真皮(テルダーミス®)を貼布した.術後の疼痛,出血は最小限であった,確定診断後,扁平上皮癌の2例は腫瘍辺縁から1cm以上離して指を切断し,残りの3例は追加の植皮を行わず上皮化するのを待った.前者の2例については,各々2年,1年半経過した現在,再発,転移は認められず,後者の3例については,爪の変形もほとんどなく治癒した.人工真皮(テルダーミス®®)は,従来の植皮,および軟膏ガーゼを使用する方法に比べ,術後疼痛,出血のコントロール,いずれもにおいても優れている有用な方法と思われた.
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