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症例報告
Trichophyton rubrumによるblack dot ringwormの1例
著者: 篠田英和1
所属機関: 1篠田皮ふ科医院
ページ範囲:P.416 - P.419
文献購入ページに移動 83歳,女性.顔面に痒みを伴う紅斑があり,某医にてステロイド外用剤を塗布するも,紅斑は頸部および耳介に拡大してきた.額,下顎,左頸部に炎症の乏しい紅斑と,左手指,左足趾爪の白濁を認めた.顔面,頸部より菌糸型菌要素を検出し,患者の訴えはなかったが,頭髪を診ると左前頭部に毛孔一致性の黒点を発見した.さらにKOH検鏡にて毛内性菌寄生の像がみられた.各病巣から採取した標本よりTrichophyton rubrumを分離し,体部白癬(顔面,耳介,頸部),足手爪白癬およびblack dot ringworm(BDR)と診断した.T.rubrumによるBDRの本邦報告例11例を検討した.成人例は近接する白癬より波及,発症し,小児例は家族内(成人)の足白癬より感染し発症すると思われた.また,その誘因にはステロイド剤の使用が考えられた.小児および高齢者の顔面白癬の場合,BDRの早期発見のためにも頭髪の診察の必要性を痛感した.
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