臨床皮膚科55巻8号

2001年07月発行

症例報告

Bowen病に合併したMerkel細胞癌—Sentinel node technique試行例

著者： 岸本和裕¹ 舘下亨¹ 菊池智¹ 山口亜紀¹ 柳堀浩克¹ 岩月啓氏¹ 金子史男¹ 渡辺一男² 渡辺隆紀³

所属機関： ¹福島県立医科大学医学部皮膚科学教室 ²福島県立医科大学医学部病理学第2講座 ³福島県立医科大学医学部第2外科学教室

ページ範囲：P.631 - P.634

文献概要

　73歳，女性．約2年前より右腰部に皮疹が存在し，半年前よりその上に腫瘤が出現した．病理組織学的に局面部はBowen病，腫瘤部はHE所見，免疫組織化学的所見，さらに電顕的に有芯顆粒を認めたことよりMerkel細胞癌と診断し，辺縁より3cm離して切除，分層植皮術を施行した．転移の可能性を疑い，予防的リンパ節郭清を行うにあたり，腫瘍が腰部に存在するため所属リンパ節を特定するのが困難と思われたので，最近，メラノーマに用いられているsentinel node techniqueを試行した．右鼠径部にsentinel lymph nodeを確認し，それを含むリンパ節郭清を行った．この方法は非メラノーマ皮膚腫瘍にも転移の有無を検討するうえで有用な手法と思われた．