70歳,女性.1999年より口腔粘膜にびらんが生じ,治療を受けるも軽快しなかった.2000年には背部に軽度瘙痒を伴う環状の紅斑が出現し,水疱を伴うようになった.病理組織学的にはフィブリンと好酸球を内容とする表皮内水疱の形成,好酸球性海綿状態がみられた.蛍光抗体直接法にて表皮細胞間にIgG, C 3の沈着を認めた.以上の所見より疱疹状天疱瘡と診断し,ステロイドの内服を開始したところ皮疹は速やかに消退した.ELISA法による血清学的解析では抗デスモグレイン(抗Dsg)1抗体,抗Dsg 3抗体が検出され,特に抗Dsg 3抗体は非常に高値であった.