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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科56巻1号

2002年01月発行

文献概要

症例報告

漢方治療が奏効した色素性紫斑性苔癬様皮膚炎の1例

著者: 安岐敏行1 三原基之1

所属機関: 1鳥取大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.54 - P.56

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 67歳,女性.上肢から体幹,下肢にかけて米粒大の丘疹状紫斑が集簇なしい融合して大小の局面を形成していた.組織学的には基底層に液状変性がみられ,真皮上層には帯状に炎症性細胞が浸潤していた.また,赤血球の漏出が表皮内,真皮毛細血管周囲にみられた.臨床像および組織学的に苔癬化反応を示したことより色素性紫斑性苔癬様皮膚炎(Gougerot-Blum病)と診断した.近医にてステロイド剤の外用,内服を含む諸治療が行われたが無効であったため,漢方治療を試みた.漢方的に本例には寒証と瘀血証があり,これを目標に八味地黄丸と桂枝茯苓丸のエキス剤の内服を行い,外用は以前のステロイド剤を継続した.約1か月で皮疹は色素沈着を残してすべて消失した.体調も良好なため,以後1年以上にわたり漢方の内服を継続しているが,皮疹の再燃はみられない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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