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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科56巻10号

2002年09月発行

文献概要

症例報告

悪性黒色腫との鑑別を要した男性乳癌の1例

著者: 近藤正孝1 加倉井真樹1 清澤智晴1 梅本尚可2 出光俊郎2 中川秀己1 日引太郎3 遠藤則之3 穂積康夫3 川井俊郎4

所属機関: 1自治医科大皮膚科学教室 2自治医科大学附属大宮医療センター皮膚科 3自治医科大学附属病院外科 4自治医科大学附属病院病理診断部

ページ範囲:P.875 - P.878

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 臨床的に黒色結節を呈し,組織学的には浸潤型乳癌の表皮向性(Paget現象)を認めた男性乳癌の1例を経験したので報告する.患者は55歳,男性.4か月前から存在する右乳頭部の小指頭大黒色結節を主訴に来院した.組織学的にはサイトケラチン陽性,S−100蛋白陰性,HMB−45陰性の浸潤型乳管癌で,腫瘍細胞は表皮向性浸潤を示した.また,腫瘍巣内にはメラニン,メラノファージが混在し,表皮のメラノサイトの増加がみられた.また,腫瘍組織のエストロゲンレセプター定量は陽性であった.右胸筋合併乳房切除術を行い,術後,5年2か月後の現在まで再発,転移はない.また,自験例と文献をもとに,乳癌における黒色調を呈する機序について考察を行った.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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