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原著
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福島医科大学皮膚科において最近13年間に経験した天疱瘡33例(粘膜優位型尋常性天疱瘡:PV—M7例,粘膜皮膚型尋常性天疱瘡:PV-MC11例,落葉状天疱瘡:PF15例)のうち経過中最終的に臨床症状が消失し,ELISA法を用いて測定した抗デスモグレイン(Dsg)抗体価が陰性化した4例について臨床症状と抗Dsg抗体価の推移を中心に検討した.その内訳はPV-M3例,PV-MC1例であった.一方,予後の良いとされるPF患者に陰性化例は認めなかった.陰性化例には粘膜病変を伴う病型である以外に重症度,治療など共通の特徴は認めなかった.いずれの症例においてもELISA法により測定した抗Dsg抗体価が天疱瘡の病勢と相関していた.天疱瘡患者には副腎皮質ステロイド長期投与により副腎皮質機能が低下している症例があり,抗体価が陰性化してもステロイドの減量,中止には注意が必要であると思われた.
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