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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科56巻13号

2002年12月発行

文献概要

症例報告

全身に皮疹を認めたにもかかわらず,ステロイド外用のみで軽快した落葉状天疱瘡の1例

著者: 竹中基1 西村香織1 片山一朗1

所属機関: 1長崎大学医学部附属病院(皮膚科学)

ページ範囲:P.1128 - P.1130

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 47歳,女性.1992年12月より顔面を除く全身各所に紅斑,小水疱が出現,散在するようになった.近医皮膚科を転々とし治療されるも軽快しなかったため,1997年3月に自己判断で治療を中止した.1999年2月より,顔面にも紅斑,水疱,びらんが出現するようになり,3月からは全身に多発するようになったため,国立嬉野病院皮膚科を受診した.初診時には,頭部顔面を含むほぼ全身に,落屑や痂皮を付すびらん局面,紅斑の多発を認めた.水疱は弛緩性で少数しか認められなかった.粘膜疹はみられなかった.病理組織像では,角層直下に水疱を認め,水疱内には棘融解細胞を認めた.蛍光抗体直接法では,表皮細胞間にC3の沈着を認めた.血清抗デスモグレイン1抗体陽性,抗デスモグレイン3抗体陰性.以上より落葉状天疱瘡と診断した.皮疹は,ステロイド外用のみでわずか約2週間で消退し,全身投与は必要なかった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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