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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科56巻13号

2002年12月発行

文献概要

症例報告

鼻出血を初発症状としたハンセン病の1例

著者: 杉田康志1 谷川徹2 高橋宏幸2 石井則久3

所属機関: 1広島県厚生連吉田総合病院皮膚科 2広島県厚生連吉田総合病院耳鼻咽喉科 3国立感染症研究所ハンセン病研究センター

ページ範囲:P.1191 - P.1194

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 58歳,日系ブラジル人男性.1994年に来日.1999年1月頃から鼻出血が出現した.2000年8月頃から両側大腿前面,腹部の表面に軽度紅斑を伴った1.5cm大の皮下腫瘤が多発し,右上腕に境界不明瞭で一部紅色の丘疹を伴った10×5cm大の紅色局面が出現した.鼻腔内では,鼻中隔は肥厚,凹凸不整で,鼻粘膜全体にびらんがみられた.皮疹部は病理組織学的に真皮上層から皮下組織にかけて泡沫細胞と軽度リンパ球浸潤を伴った大小多数の肉芽腫がみられた.抗酸菌染色(Fite法)で泡沫細胞の空胞内に多数の桿菌,菌球の形成がみられ,さらに免疫組織染色では皮膚,鼻粘膜組織中にPGL−1陽性細胞が多数みられた.以上より,鼻出血を初発症状としたらい腫型ハンセン病と診断した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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