症例報告
発疹性黄色腫の1例
著者:
澁谷修一郎1
岡田裕之1
大西誉光1
渡辺晋一1
所属機関:
1帝京大学医学部皮膚科学教室
ページ範囲:P.141 - P.143
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36歳,男性.約3週間前より左上肢に自覚症状を欠く皮疹が出現し,徐々に体幹にも増数した.初診の約2週間前より近医内科にて高血糖,高脂血症を指摘され食事療法中.体幹,上肢に淡い紅暈を伴う淡褐色の表面平滑なドーム状に隆起する米粒大の丘疹を散在性に認めた.初診時BS455mg/dl, HbA1c 11.3%,尿糖(定性)4+と糖尿病はコントロール不良で,さらに総コレステロール696mg/dl,トリグリセリド4,040mg/dl,リン脂質852mg/dlと血清脂質は高値を示し,リボ蛋白分画ではプレβ—リポ蛋白83.6%,カイロミクロン5.1%とV型の高脂血症を示した.組織所見では真皮上〜中層の膠原線維間に泡沫細胞の増生がみられた。食事療法に加え,スルホニルウレア剤,α—グルコシダーゼ阻害薬,HMG-CoA還元酵素阻害薬の内服治療を開始し,皮疹は内服開始約6週後には平坦化した.