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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科56巻3号

2002年03月発行

文献概要

原著

成人型アトピー性皮膚炎における心理社会的増悪因子の評価と治療への反映

著者: 草間美紀1 米本広明1 井上奈津彦1 上出良一1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学皮膚科学講座

ページ範囲:P.195 - P.198

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 近年,アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis;AD)の増悪,遷延化には心理社会的要因が関与していると指摘されている.今回,筆者らは傾聴を主体とした診療にて心理社会的要因を解析し,治療への反映を検討した.成人AD患者31名中29名(93.5%)に心理社会的増悪因子が認められた.対象患者を4群に分類した.0群:心理社会的要因が皮疹増悪に関与していない群(2名),1群:精神科的に大きな問題はないが,職業,家庭,学業などのストレスで皮疹が増悪している群(24名),2群:過敏性腸症候群など他の心身症や心気症を合併しているが,皮膚科定期通院が可能である群(3名),3群:うつ病,人格障害などを有し,精神科的治療が優先される群(2名)とした.予後調査では1群の大多数で皮疹の改善が持続していた.2,3群では精神科との連携を要するが,大半を占める1群では皮膚科医による心身医学的アプローチが重要であると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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