icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科56巻3号

2002年03月発行

文献概要

症例報告

有棘細胞癌との鑑別を要した皮膚白血病の1例

著者: 佐藤友隆1 永尾圭介1 松本博子1 杉浦丹1

所属機関: 1清水市立病院皮膚科

ページ範囲:P.253 - P.255

文献購入ページに移動
 76歳,男性.左側頭部の疼痛および皮疹を主訴に来院し,25mm径の腫瘤を認めた.黒色の痂皮を取り除くと,中央白色の壊死組織を付着するクレーター状の潰瘍を認めた.組織学的に表皮は不規則に延長し,真皮内に軽度の核異型を伴う有棘細胞の不整な島嶼状ないし巣状の増殖を認めた.真皮,皮下組織では円形細胞の密な浸潤を認めた.円形細胞は大小不同,核分裂像を伴った.末梢血,骨髄生検と併せて急性骨髄単球性白血病(AMML, FAB M4)の皮膚浸潤と診断した.表皮の変化は有棘細胞癌との鑑別を要したが,ケラチノサイトの異型性に乏しいこと,主病変を真皮,皮下組織に認めたことより偽癌性増殖と考えた.急激な経過をとり,化学療法開始後4日で死亡した.急激に増大する腫瘤の鑑別診断として皮膚白血病も考慮する必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?