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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科56巻3号

2002年03月発行

治療

エトレチナートが奏効した皮膚硬化型慢性移植片対宿主病の1例

著者: 鈴木洋介1 畑康樹1 原藤玲1 田中勝1 西川武二1 森毅彦2 渡辺玲子2 岡本真一郎2

所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室 2慶應義塾大学医学部血液内科

ページ範囲:P.275 - P.277

文献概要

 33歳,男性.急性骨髄性白血病に対して非血縁者間同種骨髄移植を行った.急性移植片対宿主病(graft-versus-host disease;GVHD)はみられなかった.苔癬型慢性GVHDの皮疹が移植の6か月後に出現したが,ステロイド・免疫抑制剤にて軽快した.移植から2年4か月後に上肢および躯幹に皮膚の硬化が出現した.生検にて真皮の膠原線維の増生がみられ,硬化型の慢性GVHDと診断した.ステロイド・免疫抑制剤増量にて軽快しなかったため,エトレチナート40mg/日の投与を開始したところ,約1か月後から皮膚の硬化が軽快傾向を示した.エトレチナートの皮膚硬化に対する有効性は確立されていないが,近年の研究成果からその可能性が示唆されている.これまで硬化型慢性GVHDに対してエトレチナートを用いた報告は本邦ではみられず,さらなる症例の集積が,今後強皮症を含めた皮膚硬化の機序の解明にも役立つことが期待される.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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