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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科56巻4号

2002年04月発行

文献概要

症例報告

肺癌を合併し,特異な所見を示したIgA天疱瘡の1例

著者: 速水誠1 速水真理子2 杉原肇3 橋本洋子3 左川均4

所属機関: 1速水皮膚科 2大阪市立大学大学院医学研究科臨床医科学専攻生殖発達医学皮膚科学教室 3関西医科大学皮膚科学教室 4朋愛病院内科

ページ範囲:P.335 - P.338

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 78歳,男性.初診時所見は背部と両大腿に散在性に発生した小水疱と膿疱で,組織学的には角層下の棘融解像を伴う好中球性膿疱であった.皮疹は2週間で拡大・増悪し,小水疱と膿疱よりなる環状〜蛇行状の大型局面を形成した.増悪時の組織像は初診時と一変し,基底層直上の棘融解性膿疱で,浸潤細胞の中心は好酸球に変化していた.直接免疫蛍光染色では表皮全層の細胞間にIgAの強い蛍光とC3とIgGの弱い蛍光を認めた.皮疹はプレドニゾロン15mgによく反応したが,患者は肺の扁平上皮癌のため永眠された.全体像としてはIgA天疱瘡であるが,IgAのほかにIgG,C3の沈着をみたこと,わずかの間に膿疱の位置が角層下から基底層直上に変わるとともに,浸潤細胞の好中球から好酸球への転換をみたこと,比較的少量のブレドニゾロンによく反応したこと,肺癌を合併したことなど,特異な症例と考え報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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