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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科56巻4号

2002年04月発行

文献概要

症例報告

皮下腫瘤を呈した前頭洞嚢腫の1例

著者: 川上麻弥子1 秋山真志1 木本雅之1 五味博子1 松尾聿朗1 横山智一2 高雪恵3

所属機関: 1帝京大学医学部附属市原病院皮膚科学教室 2帝京大学医学部附属市原病院耳鼻咽喉科学教室 3若宮中央医院

ページ範囲:P.345 - P.347

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 50歳,女性.右前額部から右上眼瞼にかけて,正常皮膚色の3.5×4.5cmの皮下腫瘤を認めた.右眼は外側に偏位し,複視,頭痛を自覚していた.CTで,皮下から右前頭洞,篩骨洞,眼窩内に及ぶlow density massを認めた.病理組織学的には線維性の嚢腫で,壁の一部は上皮成分に被われ,間質には炎症性細胞浸潤が認められた.以上より前頭洞嚢腫と診断した.前頭洞嚢腫は前頭洞由来の良性の粘液嚢腫であるが,放置すると前頭洞から眼窩内,頭蓋内に拡大する.主に耳鼻科にて診断,加療されることが多く,皮膚科領域での報告例は非常に少なく,本例のように皮下腫瘤として皮膚科を初診する例は比較的稀と思われる.前頭洞嚢腫も皮膚科外来における前額部の皮下腫瘤の鑑別診断の1つに加えられるべき疾患と考える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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