文献詳細
特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 2002
1.最近話題の皮膚疾患
文献概要
肛囲溶連菌性皮膚炎(perianal streptococcal dermatitis:PSD)の小児20例の臨床像をまとめた.発症年齢は6か月から10歳,男児8例,女児12例で,女児に若干多かった.臨床像は肛囲の紅斑が主たる病変で,びらん,亀裂形成,落屑も一部にみられた.発熱を生じた6例中4例で咽頭溶連菌感染症を伴い,女児12例中5例で外陰膣炎を併発していた.肛門部の細菌検査にはA群溶連菌迅速診断法であるストレップAテストパックを用い,陽性所見を診断根拠としたが,本法により早期の治療開始が可能なため,有用な方法であると思われた.多形紅斑,蕁麻疹を伴っていた例ではPSDの治療によりそれらの症状も軽快した.また全体の半数にあたる10例はアトピー性皮膚炎患者であった.PSDは決して稀な疾患ではなく,この疾患を念頭において肛囲に目を向けることが重要であると考える.
掲載誌情報