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特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 2002 2.皮膚疾患の病態
アトピー性皮膚炎とリモデリング
著者: 片山一朗1
所属機関: 1長崎大学大学院医学研究科神経感覚医学講座皮膚科学分野
ページ範囲:P.39 - P.42
文献購入ページに移動 気管支喘息においては,慢性化,難治化に至るプロセスを気道上皮の修復,再構築という観点からリモデリングという概念でとらえようとする考え方が提唱されている.アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis:AD)においても,非特異的な刺激や嗜癖的な掻破によるバリアー機能の破壊やアレルギー炎症などの慢性化に伴う表皮の増殖や真皮線維芽細胞の活性化がADの慢性化,難治化に関与している可能性も考えられ,そのような病態を皮膚のリモデリングと呼ぶことも可能かと考えられる.ADの病因論の歴史的な流れからはADが湿疹性の疾患であることより表皮ケラチノサイト,Langerhans細胞や血管内皮細胞,組織肥満細胞を中心に研究が進められてきたが,今後は皮膚全体のリモデリングの観点からも検討していく必要があり,真皮線維芽細胞の機能解析も重要な研究課題になると考えられる.
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