icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科56巻5号

2002年04月発行

文献概要

Derm.2002

原因は何ですか?

著者: 神田奈緒子1

所属機関: 1帝京大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.46 - P.46

文献購入ページに移動
 外来で日々患者さんを診察していると,「この病気の原因は何ですか?」と聞かれることが多い.感染症など病因のはっきりしている疾患はよいが,蕁麻疹,湿疹など,病因の特定できない疾患については返答に苦慮する.「原因は特定できません」といって,説明しても納得して下さらない.こんなときの切札として「アレルギーです」,あるいは「ストレスです」というと,それだけで妙に納得して下さる方もいるが,それでは満足せず,さらに「何のアレルギーですか」,「どういうストレスですか」と追求する方もいる.紆余曲折したあげく,あまり意味がなさそうでもIgE RASTなどの検査をオーダーし,「これが陽性であっても原因とはいえませんが……」とお茶を濁すこととなる.何年か皮膚科医をしていると,医学が進歩しても,体内現象は解明しきれないことが多く,病気の原因が特定できないのはむしろ当然のことだと開き直りの境地に達するのだが,患者さんによっては,すべての病気には必ずはっきりした原因があって,それは必ず解明できるはずだという信念を持っている方も多く,こういう方々はなかなか説得しきれない.「この病気の原因は何ですか?」といわれたときの対処法マニュアルがほしいと思う今日この頃である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?