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特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 2002 2.皮膚疾患の病態
ロリクリン・ノックアウトマウス
著者: 須賀康1
所属機関: 1順天堂大学医学部皮膚科学教室
ページ範囲:P.53 - P.57
文献購入ページに移動 ロリクリン遺伝子をジーン・ターゲッティングしたロリクリン・ノックアウトマウスは,生下時には発赤,光沢,透明感のある角化症様の表現型を呈するが,transepidermal water loss, dye perme—abilityなどによるバリアー機能の解析では正常コントロールとの差が明らかではない.しかしながら,角層の表皮細胞にテープ・ストリッピング,煮沸,超音波処理などの機械的なストレスを加えて解析を行うと,コントロールに比べて明らかにバリアー機能の障害を有することが判明した.このため,ロリクリンは外界からの機械的なダメージに対して身を守る役割を有する蛋白であると推定された.現在,作製されたノックアウトマウスを利用してロリクリンの遺伝子変異や発現異常を伴うさまざまな皮膚疾患が解析されており,すでにいくつかの興味ある情報も得られているので紹介する.
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