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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科56巻5号

2002年04月発行

文献概要

特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 2002 4.皮膚疾患治療のポイント

皮膚腫瘍に対するALA外用PDTの実際

著者: 森脇真一1 星野優子2 山田知加2 高城倫子2 田中秀生3

所属機関: 1浜松医科大学光量子医学研究センター 2浜松医科大学皮膚科学教室 3浜松医科大学歯科口腔外科

ページ範囲:P.112 - P.117

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 近年,腫瘍選択的光感受性物質である5—aminolevulinic acid(ALA)外用剤を用いた光線力学療法(photodynamic therapy:PDT)が表在性皮膚腫瘍治療の1つの選択肢として注目されている.ALAを病変部に密封外用すると,数時間でプロトポルフィリンIX(Pp IX)に変換される.Pp IXはある波長の光線を照射すると励起され,基底状態に復帰する際に産生される活性酸素が腫瘍を壊死に陥らせる.本法は非侵襲的,非観血的で何度でも繰り返すことができ,整容的にも優れた安全性の高い治療法である.欧米ではすでに多くの症例で有用性が確認されているが,本邦ではまだその実績は少ない.筆者らは学内倫理委員会の承認を得て,表在性皮膚悪性腫瘍(扁平上皮癌,基底細胞癌,乳房外Paget病,Bowen病)あるいはがん前駆症(日光角化症)患者に対してALA外用PDTを開始した.皮膚腫瘍の中でも角化傾向の少ないもの,メラニン産生の少ないものは特に有効と思われた.光線照射中の熱感,疼痛のため約半数の症例で局所麻酔薬が必要であった以外には,特に副作用は認めなかった.皮膚腫瘍治療の第一選択はもちろん外科的切除であるが,高齢者,重篤な内科疾患を合併する場合,手術を拒否した場合には考慮してもよい治療法であると考える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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