icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科56巻6号

2002年05月発行

文献概要

原著

痤瘡患者における掻破行動の実態調査

著者: 林伸和1 小林美咲2 細谷律子3 前口瑞恵4 山田美奈5 北原比呂人6 杼木真理子7 秋吉栄美子8 川島眞1

所属機関: 1東京女子医科大学皮膚科学教室 2小林皮膚科医院 3細谷皮フ科 4新宿南口皮膚科 5四谷三丁目皮膚科 6北原皮膚科 7北松戸皮膚科クリニック 8えみ子皮膚科クリニック

ページ範囲:P.387 - P.391

文献購入ページに移動
 139名の痤瘡患者を対象に掻破行動についてアンケート調査を行った.何らかの掻破行動があると答えた患者は89.2%であった.掻破行動の内容は,昼間は,何となく触る(66.1%),つぶす(49.2%)が多く,洗顔時は,つぶすと答えた患者が58.9%で,夜間は,寝床に入ると掻いてしまうことがある(48.6%),朝,掻き傷ができている(21.6%)であった.掻破の理由は,86.9%の患者が気になるからと答えていた.一方で,皮膚に触ることは悪いと意識している患者が86.7%いた.
 習慣性の掻破行動は,長時間の皮膚に対する圧迫もしくは接触と同様の機序で増悪因子となりうるが,何となく触ってしまう,寝床に入ると掻いてしまうという行為は,習慣性の無意識の行動であり,つぶすことや皮をむくといった座瘡を積極的に触る行為とは異なっている.無意識の習慣性の掻破行動は,痤瘡患者の半数以上で認められ,今後の患者指導の中で重要な点と思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?